「環境は人格を変えるから気をつけよう」が一番大きな感想。
麦と絹。二人の関係が壊れたきっかけが、就職。
麦くんが働きさえしなければ、……というか、心にゆとりを持ちながら働ける職種、職場、給与であれば。結果は全く違ったものになっただろう。
仕事はしなければ生きていけないし、それは自分にとっても同じ。
そういう意味で、やたら危機感を持たされた。
なので、率直な感想は、仕事は人格すら変えうる。明日は我が身だ、気をつけよう、でした。。
以下、感想を書いていく。
別れを選んだハッピーエンド
冒頭、いかにも別れた後の麦と絹が登場したので、この二人が復縁する物語だと信じながら観ていたんだけど、そんな展開には一切ならずに終わった。
「花束みたいな恋をした」
よくよく考えたら「恋をした」と過去形だし、そういう事だったんだな、と、見終わってから気づく。
別れたんだけどハッピーエンド。すごく不思議な終わり方だったなぁ。
本編の終盤、友人の結婚式後に別れを切り出すと決めた二人。
出会った時から共通点が多かった二人は、決断のタイミングまで一緒だったのが、どこか切なかった。
結婚式 → 二人でカラオケ → 思い出のファミレス
しばらくすれ違ってる姿ばかり見せられていたから、楽しそうな2人を見て嬉しくなった。
ファミレスにて、
麦「恋愛感情なくなっても結婚ってそういうもんだし、やり直そう」
絹「……そうだねー(棒)」
と、ギリギリ破局回避したのかと思ったその時、となりの席で、出会った頃の二人とそっくりな会話をする男女の会話が聞こえてきて、"楽しかったあの頃"の記憶が強烈にフラッシュバックする。
これが2人の交際にトドメの一撃を与えたのかな。
麦・絹(あぁ、あの頃にはもう戻れないないんだな。無理なんだな。私たちは、終わっている)
と、理解した瞬間だった気がする。
それにしても、
- 新居が見つからず、そのあと3ヶ月一緒に住み続けた
- その間、仲良さそうな描写のみ
- 「ぶっちゃけ、浮気してた?」って会話
と、
この人達、強いな。
あんなに普通に楽しそうな3ヶ月過ごしたら、自分だったら別れる意味を見失ってしまう…かな。
自然消滅ならぬ、自然復縁しちゃいそうだもの。
あなたはどっちで生きてるの?これからはどう生きたいの?…と、聞かれているような
この映画、最初の一時間は、ひたすら楽しい時間を過ごす二人を見せつけられのだが、麦と絹が就職してからはそれが一変する。
絹は変わらず。プライベートに仕事は持ち込まず、趣味に時間を使う生活。……ついには、「好きな事で働きたい」と、収入よりもやりがいを求めて転職する。
麦は、性格が一変する。仕事に対する責任感どんどん強くなり、働く時間が長くなる。一日中、仕事の事を考えるようなライフスタイルになっていった。
正直、「人生は責任だ」とか言う20代は、しんどい。ちょっと、お近づきにはなりたくない。
…客にツバを吐きかけられたりとか、大丈夫と言いながら全然大丈夫じゃない精神状態が続いていた麦。心が病んでたのかもしれない。
「本なんて読めない。頭に入って来ない。パズドラしかやる気にならないんだよ」
……という麦のセリフに、グサーーーーッと来た社会人、少なくないはず。
溜まった疲労感、今日の仕事の事、明日の仕事の事、頭のメモリーはいっぱいいっぱいになると、娯楽すらめんどくなる。楽しい事でも考えるのが億劫になるもの。
仕事は人格をも支配するんだな……という恐怖を垣間見た。でも、仕事をしなければ生きていけないんだよな。
生きるって、むずかしい。
だんだん、自分に問いかけられてる気がしてくる。
あなたはどっちで生きてるの?これからはどう生きたいの?
って聞かれてるような気になった。
社会人って、大変よね。みんな、大変よね。
そして僕は確信した。
この作品の裏テーマは、「仕事なんて暇つぶしくらいのテンションでがんばりなさい」なのだと。(違うw)