宇宙人の枠組み外すと、テーマは人種差別
ヨハネスブルグの上空に巨大な宇宙船が!!……しかし、微動だにせず。上空に浮かんだまま。なにも起こらず。
宇宙船の中をこじあけてみたら、栄養失調の宇宙人がたくさん。地球人は宇宙人を、地上に仮設住宅を作って住まわせることに。
その場所は、『第9地区』と呼ばれた。それから20年……。
- 見た目は『エビ』っぽい、昆虫的な感じ。
- 2足歩行
- 背格好は人間とさほど変わらない
- 言語を用いた意思疎通できる
- 繁殖は卵
- 知能の個体差のバラツキ激しい
人間と大きく違う点は見た目。それ以外は、実は人間と差異はない。
五体の位置も一緒、言語操れる、口から食べてケツから出す。子を想う気持ちや、美味しいものを食べたがるのも人間と一緒。
宇宙人という枠を外してみてみると、完全に人種差別のそれだった。
『地球生まれ』という初期設定が存在しないから、差別していいという大義名分が成り立つ。ぞんざいに扱うのは悪い事ではないという共通認識になる。……反抗したら銃殺されてもしょうがないし、増えたら都合が悪いので卵を見つけられたら焼き払われる。話せて意思疎通できても『人権』とよばれるものは存在しないのだ。
20年という時を経ても、その『区別』は脈々と続き、『第9地区』と呼ばれる地区に閉じ込め、迫害は続いていく。
最優先すべきはなに?人類存続?
……とはいえ宇宙人、人類から見たら、ハイテク技術を持った超文明の生命体だ。
迫害するくらいの圧力をかけなければ、逆に地球を侵略されてしまう可能性もある。わからないことは、こわい。どうするのかが正解もわからない。
宇宙船がずーっと上空に停滞しているのも、人類にとってはかなりの圧力になっている気がした。宇宙人の武器は彼らにしか反応しないという設定だったので、宇宙船もそうなのだろう。壊せもできないし、できれば技術も欲しい。技術を得るには宇宙人の生体が必要だから、絶滅させるのもためらう。
20年もの間どうにもできなかったのは、そういった事情なのだろうと推察する。
人間と家畜の線引きってどこなんだろうって考える。
言葉による意思疎通ができるか否か。
豚や牛が人類とコミュニケーション取れたら、食べれないもんなぁ……なんて思ったり。
命の重み、利用価値、倫理感、人類存続。
このへんの事を天秤にかけながら観ると、いろいろ考えさせられる映画だった。好き。
ちなみに、この映画の主人公は、宇宙人の作ったエネルギーの筒の液体が目に入り、なにかに感染し、人間の体→宇宙人の体へと変身していきます。
宇宙人を管理していたお偉いさんの身体がどんどん『エビ化』していく。かれの運命やいかに。